2009年2月9日月曜日

大七 純米大吟醸雫原酒 妙花闌曲


大七 純米大吟醸雫原酒 妙花闌曲
大七酒造株式会社

福島県二本松市
原料米/山田錦
精米歩合/35%
アルコール度数/
日本酒度/
酸度/

■ツタの葉のレリーフが高級感を醸しだす
生もと造りの大御所である大七酒造が、蔵が定める最高レベルに到達した年のみ出荷されるという純米大吟醸雫原酒である妙花闌曲。
旨味はあくまでも柔らかく濃密であり、突出した酸味や粗さを感じさせることがない最良の酒を目指す大七は、ともするとガツンとした口当たりの酒になりやすい生もと造りにこだわりながら、実に多様な表情を見せる酒を醸し、昨今の地酒愛好家さんのみならず、酒呑みの先輩諸氏にも高く評価されつづけているお蔵さんであります。
古い技術だけを頼ることなく、酒米が持つ潜在力を最大限に引き出すため「超扁平精米」なる匠の技術を開発するなど、その活動から目が離せません。

今回紹介する妙花闌曲は、柔らかな曲線を描く酒瓶に絡まるツタの葉(ですよね?)を金属パーツで再現されるなどのコダワリが伺えるほか、730mlで1万2600円という価格も、この酒が持つプレミアムを演出しています。
もっとも妙花闌曲には複数のビンテージ酒を融合させ誕生させた「妙花闌曲 グラン・キュヴェ」という商品があり、そちらは750mlで1万9050円とお値段的にはハイエンドではありませんが、グラン・キュヴェの方は数年に1回の発売であり、よほど運が良くなければ手に入れる事はできません。
瓶のデザイン的には通常の妙花闌曲の方が好きなんですが、ラベルを含めたトータルな部分では、やっぱりグラン・キュヴェがかっこいいんですよね。
いつか買ってやる!

この妙花闌曲のボトルの蓋は、通常のスクリューキャップやコルク栓とは異なり、瓶に差し込む部分はプラスチックみたいな素材の、蛇腹状ディテールがあるのです。
最初は使いにくい栓だなぁと思っていたのですが、実は非常に密閉性の高い栓のようなのです。
それを知るきっかけとなったエピソードは「呑んでみました」をご覧くださいませ。

■呑んでみました
日本酒の楽しみ方は一種類ではありません。
弾けるような躍動感とフレッシュな香りを楽しむ新酒、ひと夏越えて熟成させ秋の味覚が恋しくなる時に楽しむ秋あがり(ひやおろし)、酒が持つポテンシャルに時間というスパイスを加え、隠れていた良さも揺り起こした状態の熟成酒など、様々な酒好きの嗜好に応じることが出来るのです。
これはワインなどにも通じる酒の楽しみですね。

そして妙花闌曲の良さと言えば、熟成による完璧なまでの酒の調律といったところ。
熟成酒の中にはビターな風味が前面に出すぎて、日本酒というより紹興酒的な味わいになっているお酒もあるのですが、妙花闌曲はあくまで日本酒の旨さを目指しており、新酒のようなフルーティーな吟醸香を残しながら旨味がしっかり乗っており、呑み終わりには生もと造りならではの豊かな酸味がキレを演出してくれる。
まさにオーケストラの綿密な演奏のごとく、計画され尽くされた美しさが演出されています。
ただ、冷やしすぎたり甘い酒の直後に呑んだ場合には苦味と共に酸が目立ってしまいますので、何本も酒瓶を並べるようなシチュエーションではなく、リーデルのグラスと共に妙花闌曲とサシで向かい合うのが良いと思います。

そして妙花闌曲に関する取って置きのエピソードをひとつ。
僕が最初に妙花闌曲を呑んだ時、もう少し時間を置いて呑んでみたいなと感じたため、瓶の半分まで飲んで常温放置したのですが、その時は色々と酒を買い集めていた時期でもあり、ついつい放置しているのを忘れてしまったのです。
で、このブログを開設し、そういえば妙花闌曲あったよなぁ… と発掘したのですが、放置から発掘までの期間は約2年。
開栓後の吟醸酒を約約2年も常温で放置という、酒呑みにあるまじき失態を犯してしまったのです。

ところが先日恐る恐る呑んでみたところ、若干ナッツ様の熟成香を感じ、ピークでは無いなとの印象を受けたものの、開けたての時に感じた吟醸香もしっかり残っており、なにより酒質自体には目立つ劣化が見られない事に感動したのです。
この要因には妙花闌曲の芯の太さはもちろんのこと、前記した特殊な形状の栓の効果も大きいような気がするんですよ。
こうしたデザイン瓶を採用した日本酒はコルク栓が多いのですが、大七酒造が妙花闌曲を少しずつ呑むというシチュエーションを想定し、この栓を選んだとしたら凄い。

いや、大七の事だから絶対にそこまで考えているはず。
こうした酒呑みの事を考えた真摯な姿勢こそが、妙花闌曲という美酒を生み出したのでしょう。
超スゲェ。

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1 件のコメント:

  1. 久保田の万寿のキーワードで検索していたら、こちらのブログにたどり着きました。そして大七酒造の木もと造りに興味が涌いてしまいました。まさに究極の梅酒と酒粕を探しているところで、なんとタイムリーなんでしょ。三冠王セットというのはかなりお買い得になっているようでしたので購入してみようと思います。実は日本酒はちょっと苦手なんです。しかしながら家族や親しい友達が日本酒党なのでおいしいお酒のリサーチをしている次第です。今年になってからブログ更新されていないようですのでお忙しいと存じますがぜひよろしくお願い致します。

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