2009年9月23日水曜日

2009年葡萄日記 第11回「ブラックオリンピア」


今年も食います色々なブドウ。って事で今期11回目のブドウ日記は「ブラックオリンピア」です。ブラックオリンピアは昨日掲載した「あづましずく」の親となった品種で、巨峰と巨鯨を交配して作出されたもの。その甘さから「はちみつぶどう」なんて呼ばれているそうです。巨峰より大きくて長い楕円形の巨大果実が特徴とされていますが、今回入手したのは一般的な巨峰並。滋賀県の農園から1kgあたり1500円でお取り寄せしました。

今回入手したブラックオリンピアは種ありです。果肉がしっかりしていて味も濃いのですが、上等なピオーネと印象が被り、ブラックオリンピアならではの特徴が見付けにくいかも。この辺りは生産者さんによって、明確な特徴を打ち出して来るのかもしれませんが、今回はブラックオリンピアを指名買いしたくなる個性を見付ける事ができませんでした。上等で美味しいブドウである事は間違いないのですけれど。

オリンピアは皮が薄くて裂果しやすい欠点があり、生産者が少なくて幻のぶどうと呼ばれているとも聞きましたが、少なくともブラックオリンピアに限ってはネットショップでもそれなりに見かけます。ただ、赤ブドウの「オリンピア」は実際かなり数が少ないようで、僕も1度購入のチャンスを逃して以来見かけていません。来期は是非ブラックじゃないオリンピアも食べてみたいです。
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2009年9月22日火曜日

2009年葡萄日記 第10回「あづましずく」


今年も食います色々なブドウ。って事で今期10回目のブドウ日記は「あづましずく」です。あづましずくは福島県オリジナルの品種で、1992年にブラックオリンピアとコルヒチン処理により4倍体化したヒムロットを交配して作出されたもの。今回は福島県のブドウ専門の農園から、1kgあたり900円と格安でお取り寄せしてみました。

あづましずくの見た目は巨峰やピオーネのような、典型的な大粒黒ブドウなのですが、これを食べてみると果肉が非常に柔らかく、驚くほど果汁が含まれています。柔らかな食感と溢れる果汁で、そして濃厚な甘味と旨味が合わさって、まるで天然のフルーツゼリーのよう。今回初めて食べた品種なので常にこのコンディションで流通しているのかは分りませんが、今回食べたものがあずましずくの典型的なものだとしたら、相当に素晴らしい品種だと思います。今の時点では今年食べた黒ブドウの中で1番かも。福島県オリジナル品種と言うことで、なかなか手に入りにくい品種なのかもしれませんが、個人的には大変気に入ったため、来年も必ず注文しようと考えています。
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2009年9月21日月曜日

2009年葡萄日記 第9回「サニールージュ」


今年も食います色々なブドウ。って事で今期9回目のブドウ日記は「サニールージュ」です。サニールージュは1997年8月に、農林水産省育成農作物新品種命名登録規程に基づき命名された品種で、デラウェアの芽条変異によって生じた四倍体品種「レッドパール」と「ピオーネ」の交配で作られた宮崎県生まれのニューフェイス。ジベレリン処理により種無し果実として生産されています。今回は山梨県のブドウ専門の農園からのお取り寄せで、1kgあたり1100円で購入しました。

デラウェアの兄貴分的に紹介される事の多いサニールージュだけあって、味も慣れ親しんだデラウェアを思わせる印象。ぶどうらしい香りがあって、酸味は少なく、そして甘さも充分。種無しの大きめの果実で食べやすく、数あるブドウの中でも好き嫌いの出なさそうな品種だと思います。本当はデラウエアが大好きなんだけど、粒が小さくて面倒だから、つい巨峰やピオーネを買っちゃうって人には強くお勧めしたい品種。専門サイトによれば栽培も容易だそうなので、これから価格が下がり、店頭でも良く見かけるようになるかもしれませんね。
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2009年9月20日日曜日

2009年葡萄日記 第8回「早生ネオ・マスカット」


今年も食います色々なブドウ。って事で今期8回目のブドウ日記は「早生ネオ・マスカット」です。画像を見ると緑では無く、どちかかと言えば黄色っぽいのでネオ・マスカットっぽく見えないかもしれませんが、完熟するとマスカットもこういった色になるのだそうです。今回は涼玉を購入した滋賀県の農園からお取り寄せ。1kgあたり1500円の買い物でした。

早生ネオ・マスカットの外見は、いわゆる「ネオ・マスカット」に似ていますけど、実はバラードとネオ・マスカットを交配して作り出した品種なのだそうで、2006年3月に農林水産省品種登録が行われた、比較的新しい品種なのです。ただ香りはマスカットの名に恥じない豊かなもので、食べてみると非常に甘くて美味しいのですが、これまで食べなれてきたマスカットで感じていた酸味が完熟によって完全に抜けていて、なんだか砂糖水のようなアッサリした印象になっています。

これが「マスカット」と聞いて無ければ非常に美味しいブドウなのですが、少々物足りない印象もあります。もちろん完熟の方が絶対に好き、と言う方もいらっしゃるでしょうが、香り以外のマスカットらしさが無いのは中途半端に感じるかもしれません。このくらい熟しているとシュガースポットも出まくりで、贈答用にも向かないかもしれませんね。生産者さんに言わせれば「完熟発送を指定しておいて何言ってるんだ!」と、怒られちゃうかもしれないですけど……
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2009年9月19日土曜日

2009年葡萄日記 第7回「涼玉」


今年も食います色々なブドウ。って事で今期7回目のブドウ日記は、滋賀県の農園からお取り寄せした上品な色あいの品種「涼玉」を食べてみようと思います。涼玉はワイン用品種のセイベル9110とネオ・マスカットの交雑種で、細長い果実と、擦りガラスのような透明感のある色あいが特徴の品種。ただ、収穫時期が早いと結構緑っぽいようなのですが、前回のピッテロ・ビアンコが若くて酸っぱかったので、農園に注文する時に「完熟で!」と念を押しておきました。ちなみに価格は1kgあたり1500円です。

そのせいもあってか、届いた涼玉はご覧の通りの色。香りは控えめながらマスカットのようで、果肉はやわらかいのですがサクッとした歯ごたえがあり、非常に食べやすい食感。そして酸味が非常に少なく、甘さも充分なのですがスッキリとしていて、見た目と同じく味にも清涼感があります。Webサイトによっては皮ごと食べる品種と紹介されていますが、ここまで熟していると簡単に皮がはずれるので、もしも完熟の涼玉を手に入れる機会があるならば、別々に食るのがお勧めです。

個人的にもすごく好きな品種ですねー
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2009年9月17日木曜日

2009年葡萄日記 第6回「ピッテロビアンコ」


今年も食います色々なブドウ。って事で今期6回目のブドウ日記は「ピッテロビアンコ」。細長い果実が特徴で、レディーフィンガーの別名でもお馴染みのイタリア原産品種です。その特徴的な外見から街の果物屋さんでも見かける機会が増えていて、高級タルトのキルフェボンでも秋の限定にピッテロビアンコをたっぷり使った商品がありますね。今回のピッテロビアンコは、清里の果物直売所で買ってきたもの。価格は1kg辺り1300円でした。

このブドウ自体は去年も地元で買って食べていたのですが、さすがに本場だけあって果実が瑞々しく色も鮮やか。ただ、余りにも見事なイエローグリーンだったので、ひょっとしたら熟していないのかな? と思いつつ購入したのですが、家に帰ってみるとその心配が的中していました。果実の大きさ自体はそれなりで食べごたえはあったのですが、基本的に硬くて酸っぱくて、ちょっと食べるのが辛い。ごく少量種無しが出回っているそうですが、大抵は種ありなので、皮ごと実を半分食べて種を抜いて残り半分を食べるのですが、これくらい若いと薄いはずの皮の苦味も気になって、最後は残してしまいました。

品種自体は悪いはずも無く、今回はタイミングが合わなかっただけだと思うのですが、農園から取り寄せたブドウや、直接ブドウ狩りした際には、こういった経験は無いだけに残念な経験となってしまいました。やっぱり素人目には赤ブドウや黒ブドウの方が、熟し具合を判断しやすいので安心なんでしょうか?
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2009年9月16日水曜日

2009年葡萄日記 第5回「アジロンダック」


今年も食います色々なブドウ。って事で今期5回目のブドウ日記は「アジロンダック」です。アジロンダックは古くからワイン用にも使われているアメリカ系の色の濃い品種で、今でも勝沼辺りに行くとアジロンダックのワインが手に入ります。ただ、食用としては完熟すると実が房から取れやすく、流通させるのが難しいため果物屋さんの店頭では見かける事は無く、幻のぶどうとも言われていた品種。今回は勝沼のブドウ農園から直接お取り寄せしてみました。

アジロンダックの特徴と言えば、なんと言っても圧倒的な香り。今回お取り寄せした時にも箱を開いた瞬間、部屋中に濃いブドウの香りが広がります。その香りもマスカットのようなものではなく、ブドウ味のガムに使われている、あの香りのままで、人によってはジャンクな印象を受けるかも。実の大きさもデラウエアより一回り大きいくらいで種があり、食べにくいと言えば食べにくいのですが、その味は熟した山葡萄を思わせる甘さとコクがあり、最近作出された人気品種には無い力強さがあります。粒が小さくて種があって、味は濃厚に甘いって、香りの印象は違いますがピノ・ノワールみたですね。

アジロンダックは生で食べても美味しいですが、やはりフルーツソースに加工してみたくなる味と香りです。価格も2kgで1500円と格安でしたから、来年は多めに買って生食と加工で楽しみたいと思います。
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2009年9月15日火曜日

2009年葡萄日記 第4回「ロザリオ ビアンコ」


今年も食います色々なブドウ。って事で今期4回目のブドウ日記は「ロザリオビアンコ」。仕事の関係で蓼科を通過した際に、桃が目当てで立ち寄った直売所で余りに見事な房だったので購入しました。このロザリオビアンコは欧州種と表記しているWebサイトもありますが、山梨県で品種改良され、1987年8月に登録された、日本生まれの大粒の白色種というのが正しいようです。

ハウスでも路地でも栽培可能な品種なこともあって最近は栽培農家が増えていて、僕の地元の果物屋でも良く見かける品種なのですが、やっぱり本場のは房が大きい! これ1房で1キロ以上あるんですよ。価格は1キロ辺り1500円と、最近の高級ブドウの中ではお値打ちでした。そして味の方もとにかく甘く、なおかつ酸味も少なくて非常に美味しい。見た目が余りにも鮮やかなグリーンなので酸が抜けていないかなと心配になりましたが、そんな心配は全く無用でした。

あえて難点を見付けるのであれば、見た目のゴージャスさに比べて香りが大人し過ぎるのと、実から皮が外れにくい反面、若干皮が厚くて皮ごとたべようとすると苦味が目立ってしまう事くらい。それ以外は価格面も含めて優れた品種だと思いますし、贈答用にも喜ばれそうで、今後も栽培農家が増えて行くのではないでしょうか。ロザリオビアンコ、お勧めです。
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2009年9月14日月曜日

2009年葡萄日記 第3回「パイングレープ」


今年も食います色々なブドウ。って事で今期3回目のブドウ日記は「パイングレープ」。パイナップルの味と香りが楽しめるという、岡山県のブドウ農園から取り寄せたちょっと変わった品種なのです。今回紹介するにあたり名称をパイングレープとしていますが、これはあくまで現段階の商品名で、そもそも和歌山県で発見(固定?)されたばかりの品種で、まだ正式な名称も決まっていないのだとか。なんとなく「パインの味と香りが好きならパイナップルを食えばイイじゃん」という声が聞こえてきそうですが、吟醸酒だってメロンやバナナの香りがすると、それはそれで喜ばれるので、ブドウだってパイナップルの風味がしたって良いじゃないですか(笑

今回手に入れたパイングレープは樹が未だ若い事もあって、本来の魅力を充分に引き出せていないと前置きがありましたが、果実の色は一般的に店頭に並んでいる白ブドウよりも黄色味を帯びていて、どことなくパイナップルをイメージさせるのかも? ただ、早生マスカットなんかも完熟すると黄色っぽく色付きますし、この辺りは出荷時期でどうにでもなりそうな印象。実際に食べてみると微妙に酸味が後味に残る気がするのですが、香りも言うほどパイナップルっぽく無いような…… 

農園の技術が高いのか、単純にブドウとしては甘さとコクが充分にあり、上記の酸味がアクセントになっていて美味しいブドウだとは思うのですが、今の段階で「パイナップル」を前面に押されても違和感がありますね。完熟しても爽やかな酸味が後味を引き締めるブドウというだけで、充分人気が出そうなのですが、やはり話題性としてはパイナップルっぽい方が良いのでしょうか。そのあたり、この品種の真価を知るには、もう少し食べる機会を重ねなければと思います。
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2009年9月13日日曜日

2009年葡萄日記 第2回「ハニービーナス」


今年も食います色々なブドウ。って事で今期2回目のブドウ日記は「ハニービーナス」。宮崎県の農園からお取り寄せした、1998年に農林水産省育成新品種として命名されたばかりの比較的新しい品種です。ハニービーナスは見た目マスカット的な白ブドウですが、この元になっているのは紅瑞宝とオリンピア。赤ブドウ同志の交配なのに、白ブドウになるのだから不思議です。

今回手に入れたハニービーナスは、収穫時期が完熟よりも少し手前だったのか、鮮やかな緑の見た目は美しいのですが味には若干の酸を感じました。ただ、元々が濃厚な味わいの紅瑞宝とオリンピアが親なだけに、この状態でも美味しく食べる事ができます。また、果肉もしっかりしていて食べごたえがあり、噛みしめるとたっぷりと果汁が溢れ出す、とても優れた品種のように思いました。また価格も100gあたりで130円と、他の高級白ブドウに比べて価格が手頃なのも好印象。今年は皮ごと食べる白ブドウが話題ですが、味重視で選ぶならばハニービーナスもかなり高評価を得ると思います。次回はぜひ完熟の状態で食べてみたいものですねー
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2009年9月12日土曜日

2009年葡萄日記 第1回「高尾」



今年も食います色々なブドウ。って事で今年初のブドウ日記は「高尾」。1956年に東京都農業試験場で作られた巨峰の改良品種です。巨峰との見た目上の違いは、実が多少小さく細長いことが挙げられます。また栽培方法も巨峰に比べて難しいとされ、品種が誕生してから50年以上経っているにも関わらず、流通量が極端に少ない品種であることが、果物屋さんの店頭を埋め尽くす巨峰との最大の違いでしょう。今回は愛知県の果実園からお取り寄せしました。

気になる高尾の味ですが、甘みが強く適度な酸味があり、果肉がキュッと引き締まっている感じがあります。大変美味しい葡萄なのですが、価格面を考えると種無し巨峰でも良いんじゃないのかな? なんて思う面も。ちなみに僕の購入価格は2kgで3000円と、品質を考えると決して高くは無いのですが、送料が700円掛かっていますから、地元で買えば、それなりの高級葡萄が手に入る出費。個人的には巨峰に比べると味が濃くて美味しいな。とは思うのですが、これは品種に由来するものではなく、お店で買うのとお取り寄せした事による違いかもしれないですしね。

ただ、こうした高級品種で栽培が難しとなると、生産者組合などの情報交流が密に行われている事が予想されるため、巨峰に比べて市場に出回る商品の優劣差が少ないかもしれません。巨峰は好きだけど、お店によって当たり外れがあるなぁ、なんて感じた事のあるひとなら、あえて高尾を選ぶのはアリかもしれませんです。
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2009年8月4日火曜日

大信州 純米吟醸 槽場詰め 製造年月日平成10年11月15日


大信州 純米吟醸 槽場詰め 製造年月日平成10年11月15日
長野県松本市
原料米/美山錦
精米歩合/60%
アルコール度数/16度
日本酒度/+3-5
酸度/1.8

■自家熟成酒はお嫌いですか?
久しぶりの更新です。先日のことなのですが、ちょっとした調べ物があってYahoo知恵袋を覗いていたのですが、そこを見て驚きました。日本酒の賞味期限に関する質問に対して、大抵の場合「賞味期限は1年くらい」と返答されているのです。それが新酒時の風味や味が損なわれるという意味なら同意すべき部分もあるのですが、Yahoo知恵袋の論調としては「1年を過ぎた日本酒は腐ってる。呑むと腹を壊すから捨てたほうが良い」といった流れなのです。もし1年以上常温で放置した日本酒が全て腐るのであれば、僕はとうの昔に入院する羽目になっていますね。僕の周りにも熟成用に醸された訳ではない地酒を常温熟成して楽しんでいる人は少なくないので、コミュニティが違うと共有している情報が異なるのだなぁと、ネットの怖さを実感した次第です。常温熟成の日本酒は(全てじゃないけど)美味しいですよね。

■呑んでみました
そんな訳で今日の日記は大信州 純米吟醸 槽場詰め。但し製造年月日が平成10年11月15日という、かなり以前に詰められたお酒です。常温熟成では無いですけれど、国道沿いの某酒屋さんの冷蔵庫で、ひっそりと熟成されていたお酒で、画像だと大古酒っぽく色付いたように見えるかもしれませんがが、これはあくまで瓶の色。実際の酒は普通に透明です。最近の同スペック酒は緑瓶ですが、今回購入したのはスモーキーなオリーブグリーン。11月に出荷された酒なので、いわゆる『仕込み1号』に相当する酒なのでしょうか。槽場詰めらしく軽く瓶をゆすってあげると、うっすらと澱が漂っています。最近は澱絡みを生のまま熟成した酒も増えましたし、『大信州 純米吟醸 槽場詰め』も当年の酒なら間違いのない酒なのでしょうが、果たして長期間の熟成を経て、どのように変化しているのでしょうか。

今回の『大信州 純米吟醸 槽場詰め』は、冷蔵庫から出して少し温度を戻した辺りで呑んでみました。器は枯草色の、薄い柚がかけられたぐい呑みです。まず開栓して直接匂いを嗅ぐと、やはりヒネを感じます。ですが生ヒネはとうに通り越しているようで、大古酒にあるビターな香り。この手の香りは嫌いじゃないので、熟成酒として悪い印象はありません。早速呑んでみますと意外に甘くてビックリ。大信州の新酒で感じられる甘さが濃厚になった印象です。その甘い液体が流れた後に、ビターチョコ様の苦味が舌に残ります。甘味自体にフレッシュ感が残り、熟成のビター香と合わさってラムレーズンの味のようですね。熟成香が苦手な人には合わないタイプだと思いますが、古酒を楽しむ頭に切り替わってさえいれば、チョコレートリキュールと評した『秋鹿 烈』に続くヒットですね。本当はリキュールグラスで大切に少しづつ呑むべき、一期一会の酒なのですが、余りに口当たりが良いので1本開けてしまいました。
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2009年2月27日金曜日

磯自慢 特別純米 雄町55


磯自慢 特別純米 雄町55
磯自慢酒造株式会社

静岡県焼津市
原料米/岡山雄町
精米歩合/55%
アルコール度数/16-17度
日本酒度/+4
酸度/1.2

■手に入りやすくなったプレミア酒
ちょっと前まで普通にプレミア価格で取引されていた磯自慢。
僕の地元には幸い磯自慢に強い酒屋さんがあったので苦労せずに手に入っていましたが、今では東京駅の地下で簡単に手に入るようになったのだから凄いものです。
四合瓶のラベルも以前に比べてちょっとオシャレになっていて、一定規模の販路と愛好家から支持されている銘柄の中では、黒龍に次いで目に付きやすいかも。

このお酒を購入したはせがわ酒店さんでは、現在山田錦を使った「磯自慢 生原酒 純米吟醸中取り」をイチオシにしていますが、文字の背景が山田錦が横縞になっているのに対し、雄町55はなので縦縞になっているんですね。
以前は磯自慢の四合瓶と言えば水色の印象でしたが、最近は地酒専門店に馴染みやすい緑瓶や黒瓶が主流になっているようです。

■呑んでみました
磯自慢と言うお酒、確かに僕も好きな銘柄ではありますが、以前は呑むタイミングによって大きく印象が変わると感じていました。
つまり新酒はちょっと硬さが気になる酒だなと。

ところが今回呑んだ雄町55は、栓を開けた時が正にピークな印象。
キンキンに冷えた状態から少し温度が戻った辺りで呑むと、静岡吟醸らしい柔らかい口当たりの、突出した部分を感じない旨味が広がります。
磯自慢の凄さを改めて感じる、ちょっと凄い酒ですよ。

これは凄いと思い、再びはせがわ酒店に買いに走ったのですが、既に前出の山田錦純米吟醸中取り生に入れ替わっており、再び手に入れること叶わず。
山田も美味しいんだけど、ちょっとお値段が高くなっちゃうのよねぇ。
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2009年2月22日日曜日

上喜元 純米吟醸 Rosso


上喜元 純米吟醸 Rosso
酒田酒造株式会社

山形県酒田市
原料米/雄山錦
精米歩合/55%
アルコール度数/16-17度
日本酒度/+4
酸度/1.6

■900ml入りの赤いヤツ
今回ご紹介する「上喜元 純米吟醸 Rosso」は、可愛らしいお米のラベルが貼られているだけでなく、画像ではわかりにくいかもしれませんが、商品名の通り赤いガラス瓶を採用した、日本酒ではちょっと珍しいタイプなのです。
元々はクリスマスの企画商品として登場したのですが、今でも普通に店頭に並んでいるので定番商品、もしくは冬季限定商品という扱いなのかもしれません。
上喜元を醸す酒田酒造さんは国税局全国新酒品評会を5年連続金賞受賞した実力を持ち、JALファーストクラスに大吟醸が採用されているなど評価も高く、販路も広いため地酒専門店では良く見かける銘柄のひとつです。
十四代の顕統専務が「もし自分以外に造りを任せるとしたら?」との問い掛けに対し、上喜元の社長杜氏である佐藤杜氏の名を挙げた事は有名なエピソードですね。
900mi入りの赤い瓶は小瓶にありがちなスクリューキャップではなく、一升瓶と同じ打栓になっているのも特徴で、一升瓶の栓を開ける時の「ポンッ」って言う音が好きな人にはオススメですね。

また雄山錦(おやまにしき)という酒米もちょっと聞きなれないので調べてみました。
雄山錦は五百万石よりやや長稈だが倒伏に強く多収という特徴を持ち、千粒重が大きく麹の繁殖に適した心白発現も良く、大吟醸酒などを造るための高度精白が可能な酒造好適米品種なのだとか。
また、淡麗辛口吟醸の代名詞でもある五百万石も、普通酒を作る時は使い易いが、吟醸酒を造る際には高度精白等に難があると指摘されていることもあり、こうした欠点を補う雄山錦は今後も注目されて行きそうですね。

■呑んでみました
今回もとりあえず冷蔵庫から出した直後の温度帯から呑んでみたのですが、酒度+4というスペックに見合った結構硬めの辛口の酒です。
利き酒的に小さな器でチビチビ呑んでいると何とも印象の薄い酒に感じますが、ちょっと大振りのぐい呑みに並々注ぎ、お気に入りのツマミと合わせてグイグイ呑むと、呑み飽きのしないこの酒本来の良さが引き立ちます。
立ち香は控えめですが、口に含んだ瞬間にフワッと広がる吟醸香のバランスも良く、キレも秀逸。
食の邪魔をしないタイプの食中酒として素晴らしいとは思うのですが、これって瓶のイメージとちょっと合わないかもしれないですよね(笑

綺麗な瓶とデザインラベルには似合わない、あくまで頑固な職人気質の美酒であります。
ただ900ml入りで1800円という価格設定は、上喜元としては割高に感じるし、誰かに上喜元を勧めるとしたら違うグレードになると思います。
オーソドックスな地酒ラベルの一升瓶タイプなら2856円なので、量を呑んでこそ活きる酒質を考えると、やっぱりRossoボトルは今年限りになるんじゃないのかなぁ?

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2009年2月15日日曜日

清泉 純米吟醸 酒母仕込み 16BY


清泉 純米吟醸 酒母仕込み 16BY
久須美酒造株式会社

新潟県三島郡
原料米/
精米歩合/
アルコール度数/14-15度
日本酒度/-22
酸度/6.5

■ラベルに刻まれた災害の記憶
今回ご紹介する「清泉 純米吟醸 酒母仕込み」は、一見普通の地酒ラベルが貼られた酒のように見えますが、実はあるエピソードが込められている酒なのです。
このお酒を醸す久須美酒造さんはTVドラマにもなった『夏子の酒』のモデルとなった蔵としても知られています。
一般的な日本酒は酒母に麹・水・蒸し米を加え、モロミを仕込んで醗酵させる造りを行います。
これを基に山廃だの1段仕込みだの、色々な設計を加えて様々な日本酒が出来上がる訳ですが、この「酒母仕込み」はその名の通り、酒母のみを継続醗酵した16BYだけに発売されたお酒なです。
この酒が誕生するきっかけとなったのは、新潟中越大震災によるもの。
新潟中越大震災発生当時、久須美酒造さんでも既に酒造りが始まっており、酒母を5本仕込んでいたそうです。
そこに地震がきて、その後の酒造りが不可能になってしまいましたそうで、この酒母をどうするかと考え、そのまま発酵させてお酒にしてみようということになり、この年のみ発売されたのが今回のお酒というわけです。

当時のニュースでも有名蔵の被災から復興までを大きく取り上げたりしていましたが、実際には復興が間に合わず、廃業に追い込まれたお蔵さんもいくつかあり、自然と共に在る酒蔵であっても、牙をむいた自然の力には贖う事ができないのだなぁ、と感じた記憶があります。
今現在でも、全国の多くの酒蔵では老朽化が目立っており、大きな災害に対する危機が懸念されるお蔵さんが少なくありません。
「酒母仕込み」のような機転で造りを無駄にしないのは、久須美酒造さん並の販路があったればこそなんですよね。

■呑んでみました
スペックにあるように日本酒度が-22と、端麗辛口なイメージの久須美酒造さんの酒とは思えない酒母仕込み。
麹米のみで醸した酒という事で、南部美人の「オール麹 生」をイメージしていたのですが、グラスに注がれた色、甘い果実香は確かにオール麹に通じる部分があります。
ただ酒母仕込みの方が全体的に爽やかな印象がありましたので、元々の蔵の酒質を反映しているのか、濾過の過程が異なる部分が酒にも現れているのかもしれませんね。

味もかなり酸味と甘味がありますが、いわゆる非日本酒風味の地酒に比べると、サラサラとした口当たりが特徴的。
そうは言っても一般的な清泉とはだいぶ異なる印象ですから、当時は小さめのリキュールグラスで呑んでいた記憶があります。
個人的には洋食に合うと思いますが、一般的な評価だと生牡蠣に合うと評価されるのかも。
二度と手に入らない、と言うよりも在る意味出荷されないで欲しい背景を持つお酒ではありますが、酒蔵の歴史を記憶に刻む意味では呑んでおいて正解だった1本なのでしょうね。

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2009年2月14日土曜日

華鳩 貴醸酒 オーク樽貯蔵


華鳩 貴醸酒 オーク樽貯蔵
榎酒造株式会社

広島県安芸郡
原料米/中生新千本
精米歩合/55%
アルコール度数/17.3度
日本酒度/-48
酸度/2.75

■洋酒と比較され評価されている日本酒
貴醸酒と呼ばれる日本酒をご存知でしょうか?
貴醸酒は仕込み水の全部、もしくはその一部に清酒を用いて醸造した、濃厚で芳醇な日本酒です。
貴醸酒のルーツは平安時代の「御酒」(ごしゅ)と呼ばれる酒だそうで、発酵の終了したもろみを濾してできた酒に、蒸米と米麹を入れて再び発酵させてから濾す作業を繰り返し行う「シオリ」法でつくられる酒だったとか。
この貴醸酒で現在最も知名度の高い銘柄と言えば、榎酒造が醸す華鳩ではないでしょうか。

華鳩の貴醸酒は無濾過生原酒や濁り酒から20年古酒までバリエーションが広く、そもそも一般的な地酒とは味わいの異なる酒だけに、その瓶もどちらかと言うと洋酒をイメージしたタイプが多いです。
瓶好き的な視線から言うと本当は限定500本で発売された「20年熟成大古酒」を紹介したいところなんですが、あちらは600mlで1万500円。
一般的な大吟醸と違って味のイメージがつかないので、手を出すのには勇気が必要なのでございますよ。
貴醸酒は熟成を重ねれば重ねるほど口当たりが滑らかになり、あと味のキレも一層深まりまるそうなので1度は試してみなきゃとは思うのですが。


■呑んでみました

今回ご紹介する「華鳩 貴醸酒 オーク樽貯蔵」は、その名の通り出来上がった貴醸酒を1年半ほど熟成させた後、さらにオーク樽に貯蔵してから出荷しているグレードです。
日本酒度が-48というスペックから予想される通り相当の甘口のお酒ですが、貴醸酒独特の甘酸っぱい香りとオーク樽の芳香が混ざり合い日本酒っぽさが無いので余り気になりません。
濃い酒の色からどっしりとした味わいを想像されるかもしれませんが、実際に呑んでみると呑みやすい紹興酒的な口当たりで、オイスターソースを使った炒め物が欲しくなる印象。
日本酒という頭で呑むとギョッとするかもしれませんが、ショットグラスに注いで別の酒として呑むと酒の奥に隠れた複雑で奥の深い旨味を時間をかけて楽しむ事がえきるはずです。

また、紹興酒ほど香りが強くないですから、自宅で中華料理を食べる時の食中酒としても使えそうですが、貴醸酒を醸すにはコストがかかるため、今回の商品も価格が500mlで2310円なので自宅中華にはビールで良いかも(笑
少し前に貴醸酒の新酒を熟成させずにオーク樽で貯蔵した「華鳩 貴醸酒 オーク樽貯蔵2008」という商品を呑む機会がありましたが、バランスという点では今回の方が良いかもしれないですね。

味わい的には熟成種で貴腐ワイン、新酒でソーテルヌと比較されることが多く、ともすれば海外での評価の法が高いと言われている貴醸酒。
日本酒の奥深さを知るためにも、是非一度試していただきたい1本であります。
無濾過生原酒がもう少し安ければ、もっと人気が出そうなんですけどねー

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2009年2月12日木曜日

東洋美人の会


東洋美人の会
開催日/2009.2.11(建国記念日)
幹事/てるじぃさん
会場/じゃのすけ(秋葉原)
出品本数/26種類
参加人数/15人

■どうかしてる出品数の酒の会
今回はちょっと趣向を変えて、先日参加してきた酒の会の御報告をお送りします。
一般的に酒の会といえば、蔵元さんをお招きした「○○の会」というスタイルや、居酒屋さんがセレクトした美酒を飲み比べる会、大森にある日本酒ファンの魔窟「吟吟」などで時おり開催される、愛好家がお気に入りの1本を持ち寄る「持ち込み会」など、色々なスタイルがあります。
そして今回は山口県萩市の地酒蔵、澄川酒造場が醸す銘酒「東洋美人」に惚れ込んだ愛好家が、自慢のコレクションを一挙に放出する飲み会なのです。

ただ、今回の東洋美人の会は普通じゃないのです。
なんたって参加人数が15人に対して提供されるお酒が、鑑評会出品酒から古酒まで実に26種類、その殆どが一升瓶です。
これ全部企画者さんが自腹で購入された酒だそうで、単純計算で1人辺り約3リットル…… いくらなんでも呑めるはず無いっ!

普通、これくらいの参加人数ならせいぜい一升瓶で6本というところ。
いつもは紹介される順番に酒を呑み比べる参加者さんも、この時ばかりは酔っ払って味が分からなくなる前にお目当てを試して行きますが、なにせ蔵に惚れ込んだ酒好きがセレクトしただけに、呑まなくて良い酒なんて1本も無いんですよ!
絶対大赤字だと思うのですよ、企画者さん。
経済的にどうかしてると思うけど、気に入った蔵の伝道師としては仙人のように素晴らしいお方でございますな。

普段は量より味わいの僕も結局僕も全部呑みまして、帰りの電車で危うく気を失いかけたのでございました。

■呑んでみました
今回は新酒の、しかも早い季節ということもあり、全体の約1割が新酒、5割が19BY、4割が熟成酒、1割が古酒という品揃え。
中でも記憶に残ったお酒は以下の3本です。

「東洋美人 純米吟醸 おりがらみ 槽垂れ 20BY」
当日呑んだ中で、味の開きのタイミングがバッチリだったのがこのお酒。
フルーティな吟醸香と味乗り、穏やかな発泡感、新酒らしい若々しさを演出しながら、好き嫌いが出なそうな仕上がりに、会場のあちこちから歓声が起こっていました。
使用している酒米は、山田錦の55%精米。
東洋美人というと、すうっと呑める優しさが持ち味かと思っていましたが、これだけ印象に残る新酒を出荷しているとはちょっと驚き。
当日が試飲販売会場だったら、間違いなく購入したのがこの1本ですね。

「東洋美人 山廃吟醸酒 18BY
このお酒は16BYと13BYも出品されていたようですが(メモを紛失し記憶だけに頼って書いているので違っていたらスミマセン)、一番新しいはずの18BYが最も味乗りが良かったです。
こちらも山田錦の55%精米を使った山廃仕込の吟醸酒で、東洋美人らしいスッキリとした口当たりのあと、山廃らしい酸味と旨味が微妙に絡み合って口の中に広がっていきます。
これ、太刀魚の干物とか、塩味系の焼き魚なんかと合わせると美味しそうですね。
16BYや13BYは、ぬる燗にすると印象が良くなりましたが、18BYだけは冷やの方が個人的には好みでしたね。
720mlで1522円ですから、この味と造りを思うとなかりリーズナブルではないでしょうか。

「東洋美人 山廃大吟醸 14BY」
これ、発売当時は色々な酒屋さんが絶賛していたのですが、個人的には余り東洋美人っぽくなくて良い印象が無かったのです。
それから6年の時を経て、どのように味が変化したのか楽しみだったのですが、以外にも新酒の時より香り、酸味共に穏やかになっており、古酒と言っても良い熟成期間ながら全体的な印象は綺麗なもの。
それを上燗(45度前後)まで暖めてあげると、底に眠っていた芳醇なお米の旨みが目を覚まし、いくらでも呑んでいれそうな美酒へと変貌したのです。

以上が僕の印象に残った3本、あとは愛山辺りが比較的印象的だったような。
惜しむらくは良い意味で個性を持った酒が印象に残り、東洋美人が力を入れているというテロワール「611」「437」「372」の3本に加え、どれかの薄濁りもあったはずなのですが、酵母の違い以外は明確な差が感じられず、余り記憶に残らなかったような。
ただ、呑み終わって改めて凄いと感じたのは、26種類もの酒が揃っているのに「こりゃあダメだ」って酒が1本も無かったこと。
東洋美人は元々好きな酒でしたが、改めてその実力の高さを再認識させられたのです。

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