2009年2月5日木曜日

松竹梅白壁蔵 神代穂全量


松竹梅白壁蔵 神代穂全量
宝酒造株式会社

京都市伏見区
原料米/京都府日吉町産神代穂
精米歩合/70%
アルコール度数/15-16度
日本酒度/+4
酸度/2.4

■大手が描いた地酒像?
酒瓶のデザインを語る時、変わった形状のデザイン瓶だけでなく、ラベルも含めてデザインを観た時には、実に興味深い事例を見つけることができます。
例えば平成17年12月に80本という超限定数で発売された「松竹梅白壁蔵 神代穂全量」は、あの松竹梅が考える「地酒っぽさ」が形になった商品と言える存在です。
宝酒造灘工場、通称「白壁蔵」と呼ばれる蔵で醸される酒には、旧来の大手酒のイメージを覆す、いかにも地酒的な商品「三谷藤夫」のような酒が揃っています。
こうしたお酒は料亭でも使われていることも少なくなく、普段は「松竹梅なんて」と鼻にもかけなそうな人でも、地酒感覚で注文している光景を見かけます。

確かに茶瓶に目立つ赤ラベルを貼り、デカデカと金文字で「神代穂」と描いたラベルは、ちょっと辛口を目指した地酒蔵の吟醸酒というイメージですよね。
しかも有名地酒専門店に出荷される人気ブランドではなく、知る人ぞ知るレベルの銘柄的な感じ。
ここまで計算してデザインされたラベルならば、さすがナショナルブランドと言ったところですが如何なのでしょうか?

商品名にある「神代穂」とは梅宮大社に古くから伝わる酒米で、毎年行なわれる「醸造安全繁栄祈願祭」に参拝した酒造家に初穂が授与されます。
醸造安全繁栄祈願祭(通称上卯祭)は11月第1卯の日、午前11時。秋に実った新米を使って神酒を仕込むに当たって、神々に醸造の安全を祈願するお祭りで、参列者は酒造家に限られます。
これに参加した酒造家のみに、梅宮大社に伝わる神代穂の初穂が授与されるのです。
特別な酒米を使った大手メーカーが醸す限定品(現在は発売されておりません)なんて、どんな酒なのか気になるじゃないですか。

■呑んでみました
今回の「松竹梅白壁蔵 神代穂全量」ですが、ラベルを読むとアミノ酸1.9の酸度2.4と、かなり味を乗せた酒だと伺えます。
冷蔵庫から出して瓶が汗をかきはじめた温度帯を目安に、お気に入りの備前のぐい呑みで呑んでみました。

精米歩合70%の純米ですが、香りは若干麹を感じる程度。
温度が低い状態では色々な味が混ざりあう事なく酒に漂っている印象で、常に感じる苦味が気になります。
しかし常温まで戻してみると全体に丸みが出て突出した部分が目立たなくなりますので、本来的にはぬる燗あたりがベストなのかも。
大手のお酒との先入観を抜きにしても旨味が厚く出ていて、すき焼きなどと合わせるとより楽しめそうだと思います。

但し味が濃いのが災いして、余り量を呑むと疲れてしまうのが残念ですね。
価格も720mlで2300円、飲み屋の相場で1杯1700円と低精白の純米としては決して割安でもありませんし。
ただ、ナショナルブランドも地酒ファンの忘れてはいないというアピールのためにも、こうしたお酒を発売し続ける価値はあると思うのですけれど。
直射日光が差し込む酒屋さんでは買いたいとは思いませんが、きちんと管理された状態の「松竹梅白壁蔵 神代穂全量」が再び発売されたら、僕は絶対に購入します。

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