2009年2月27日金曜日

磯自慢 特別純米 雄町55


磯自慢 特別純米 雄町55
磯自慢酒造株式会社

静岡県焼津市
原料米/岡山雄町
精米歩合/55%
アルコール度数/16-17度
日本酒度/+4
酸度/1.2

■手に入りやすくなったプレミア酒
ちょっと前まで普通にプレミア価格で取引されていた磯自慢。
僕の地元には幸い磯自慢に強い酒屋さんがあったので苦労せずに手に入っていましたが、今では東京駅の地下で簡単に手に入るようになったのだから凄いものです。
四合瓶のラベルも以前に比べてちょっとオシャレになっていて、一定規模の販路と愛好家から支持されている銘柄の中では、黒龍に次いで目に付きやすいかも。

このお酒を購入したはせがわ酒店さんでは、現在山田錦を使った「磯自慢 生原酒 純米吟醸中取り」をイチオシにしていますが、文字の背景が山田錦が横縞になっているのに対し、雄町55はなので縦縞になっているんですね。
以前は磯自慢の四合瓶と言えば水色の印象でしたが、最近は地酒専門店に馴染みやすい緑瓶や黒瓶が主流になっているようです。

■呑んでみました
磯自慢と言うお酒、確かに僕も好きな銘柄ではありますが、以前は呑むタイミングによって大きく印象が変わると感じていました。
つまり新酒はちょっと硬さが気になる酒だなと。

ところが今回呑んだ雄町55は、栓を開けた時が正にピークな印象。
キンキンに冷えた状態から少し温度が戻った辺りで呑むと、静岡吟醸らしい柔らかい口当たりの、突出した部分を感じない旨味が広がります。
磯自慢の凄さを改めて感じる、ちょっと凄い酒ですよ。

これは凄いと思い、再びはせがわ酒店に買いに走ったのですが、既に前出の山田錦純米吟醸中取り生に入れ替わっており、再び手に入れること叶わず。
山田も美味しいんだけど、ちょっとお値段が高くなっちゃうのよねぇ。
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2009年2月22日日曜日

上喜元 純米吟醸 Rosso


上喜元 純米吟醸 Rosso
酒田酒造株式会社

山形県酒田市
原料米/雄山錦
精米歩合/55%
アルコール度数/16-17度
日本酒度/+4
酸度/1.6

■900ml入りの赤いヤツ
今回ご紹介する「上喜元 純米吟醸 Rosso」は、可愛らしいお米のラベルが貼られているだけでなく、画像ではわかりにくいかもしれませんが、商品名の通り赤いガラス瓶を採用した、日本酒ではちょっと珍しいタイプなのです。
元々はクリスマスの企画商品として登場したのですが、今でも普通に店頭に並んでいるので定番商品、もしくは冬季限定商品という扱いなのかもしれません。
上喜元を醸す酒田酒造さんは国税局全国新酒品評会を5年連続金賞受賞した実力を持ち、JALファーストクラスに大吟醸が採用されているなど評価も高く、販路も広いため地酒専門店では良く見かける銘柄のひとつです。
十四代の顕統専務が「もし自分以外に造りを任せるとしたら?」との問い掛けに対し、上喜元の社長杜氏である佐藤杜氏の名を挙げた事は有名なエピソードですね。
900mi入りの赤い瓶は小瓶にありがちなスクリューキャップではなく、一升瓶と同じ打栓になっているのも特徴で、一升瓶の栓を開ける時の「ポンッ」って言う音が好きな人にはオススメですね。

また雄山錦(おやまにしき)という酒米もちょっと聞きなれないので調べてみました。
雄山錦は五百万石よりやや長稈だが倒伏に強く多収という特徴を持ち、千粒重が大きく麹の繁殖に適した心白発現も良く、大吟醸酒などを造るための高度精白が可能な酒造好適米品種なのだとか。
また、淡麗辛口吟醸の代名詞でもある五百万石も、普通酒を作る時は使い易いが、吟醸酒を造る際には高度精白等に難があると指摘されていることもあり、こうした欠点を補う雄山錦は今後も注目されて行きそうですね。

■呑んでみました
今回もとりあえず冷蔵庫から出した直後の温度帯から呑んでみたのですが、酒度+4というスペックに見合った結構硬めの辛口の酒です。
利き酒的に小さな器でチビチビ呑んでいると何とも印象の薄い酒に感じますが、ちょっと大振りのぐい呑みに並々注ぎ、お気に入りのツマミと合わせてグイグイ呑むと、呑み飽きのしないこの酒本来の良さが引き立ちます。
立ち香は控えめですが、口に含んだ瞬間にフワッと広がる吟醸香のバランスも良く、キレも秀逸。
食の邪魔をしないタイプの食中酒として素晴らしいとは思うのですが、これって瓶のイメージとちょっと合わないかもしれないですよね(笑

綺麗な瓶とデザインラベルには似合わない、あくまで頑固な職人気質の美酒であります。
ただ900ml入りで1800円という価格設定は、上喜元としては割高に感じるし、誰かに上喜元を勧めるとしたら違うグレードになると思います。
オーソドックスな地酒ラベルの一升瓶タイプなら2856円なので、量を呑んでこそ活きる酒質を考えると、やっぱりRossoボトルは今年限りになるんじゃないのかなぁ?

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2009年2月15日日曜日

清泉 純米吟醸 酒母仕込み 16BY


清泉 純米吟醸 酒母仕込み 16BY
久須美酒造株式会社

新潟県三島郡
原料米/
精米歩合/
アルコール度数/14-15度
日本酒度/-22
酸度/6.5

■ラベルに刻まれた災害の記憶
今回ご紹介する「清泉 純米吟醸 酒母仕込み」は、一見普通の地酒ラベルが貼られた酒のように見えますが、実はあるエピソードが込められている酒なのです。
このお酒を醸す久須美酒造さんはTVドラマにもなった『夏子の酒』のモデルとなった蔵としても知られています。
一般的な日本酒は酒母に麹・水・蒸し米を加え、モロミを仕込んで醗酵させる造りを行います。
これを基に山廃だの1段仕込みだの、色々な設計を加えて様々な日本酒が出来上がる訳ですが、この「酒母仕込み」はその名の通り、酒母のみを継続醗酵した16BYだけに発売されたお酒なです。
この酒が誕生するきっかけとなったのは、新潟中越大震災によるもの。
新潟中越大震災発生当時、久須美酒造さんでも既に酒造りが始まっており、酒母を5本仕込んでいたそうです。
そこに地震がきて、その後の酒造りが不可能になってしまいましたそうで、この酒母をどうするかと考え、そのまま発酵させてお酒にしてみようということになり、この年のみ発売されたのが今回のお酒というわけです。

当時のニュースでも有名蔵の被災から復興までを大きく取り上げたりしていましたが、実際には復興が間に合わず、廃業に追い込まれたお蔵さんもいくつかあり、自然と共に在る酒蔵であっても、牙をむいた自然の力には贖う事ができないのだなぁ、と感じた記憶があります。
今現在でも、全国の多くの酒蔵では老朽化が目立っており、大きな災害に対する危機が懸念されるお蔵さんが少なくありません。
「酒母仕込み」のような機転で造りを無駄にしないのは、久須美酒造さん並の販路があったればこそなんですよね。

■呑んでみました
スペックにあるように日本酒度が-22と、端麗辛口なイメージの久須美酒造さんの酒とは思えない酒母仕込み。
麹米のみで醸した酒という事で、南部美人の「オール麹 生」をイメージしていたのですが、グラスに注がれた色、甘い果実香は確かにオール麹に通じる部分があります。
ただ酒母仕込みの方が全体的に爽やかな印象がありましたので、元々の蔵の酒質を反映しているのか、濾過の過程が異なる部分が酒にも現れているのかもしれませんね。

味もかなり酸味と甘味がありますが、いわゆる非日本酒風味の地酒に比べると、サラサラとした口当たりが特徴的。
そうは言っても一般的な清泉とはだいぶ異なる印象ですから、当時は小さめのリキュールグラスで呑んでいた記憶があります。
個人的には洋食に合うと思いますが、一般的な評価だと生牡蠣に合うと評価されるのかも。
二度と手に入らない、と言うよりも在る意味出荷されないで欲しい背景を持つお酒ではありますが、酒蔵の歴史を記憶に刻む意味では呑んでおいて正解だった1本なのでしょうね。

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2009年2月14日土曜日

華鳩 貴醸酒 オーク樽貯蔵


華鳩 貴醸酒 オーク樽貯蔵
榎酒造株式会社

広島県安芸郡
原料米/中生新千本
精米歩合/55%
アルコール度数/17.3度
日本酒度/-48
酸度/2.75

■洋酒と比較され評価されている日本酒
貴醸酒と呼ばれる日本酒をご存知でしょうか?
貴醸酒は仕込み水の全部、もしくはその一部に清酒を用いて醸造した、濃厚で芳醇な日本酒です。
貴醸酒のルーツは平安時代の「御酒」(ごしゅ)と呼ばれる酒だそうで、発酵の終了したもろみを濾してできた酒に、蒸米と米麹を入れて再び発酵させてから濾す作業を繰り返し行う「シオリ」法でつくられる酒だったとか。
この貴醸酒で現在最も知名度の高い銘柄と言えば、榎酒造が醸す華鳩ではないでしょうか。

華鳩の貴醸酒は無濾過生原酒や濁り酒から20年古酒までバリエーションが広く、そもそも一般的な地酒とは味わいの異なる酒だけに、その瓶もどちらかと言うと洋酒をイメージしたタイプが多いです。
瓶好き的な視線から言うと本当は限定500本で発売された「20年熟成大古酒」を紹介したいところなんですが、あちらは600mlで1万500円。
一般的な大吟醸と違って味のイメージがつかないので、手を出すのには勇気が必要なのでございますよ。
貴醸酒は熟成を重ねれば重ねるほど口当たりが滑らかになり、あと味のキレも一層深まりまるそうなので1度は試してみなきゃとは思うのですが。


■呑んでみました

今回ご紹介する「華鳩 貴醸酒 オーク樽貯蔵」は、その名の通り出来上がった貴醸酒を1年半ほど熟成させた後、さらにオーク樽に貯蔵してから出荷しているグレードです。
日本酒度が-48というスペックから予想される通り相当の甘口のお酒ですが、貴醸酒独特の甘酸っぱい香りとオーク樽の芳香が混ざり合い日本酒っぽさが無いので余り気になりません。
濃い酒の色からどっしりとした味わいを想像されるかもしれませんが、実際に呑んでみると呑みやすい紹興酒的な口当たりで、オイスターソースを使った炒め物が欲しくなる印象。
日本酒という頭で呑むとギョッとするかもしれませんが、ショットグラスに注いで別の酒として呑むと酒の奥に隠れた複雑で奥の深い旨味を時間をかけて楽しむ事がえきるはずです。

また、紹興酒ほど香りが強くないですから、自宅で中華料理を食べる時の食中酒としても使えそうですが、貴醸酒を醸すにはコストがかかるため、今回の商品も価格が500mlで2310円なので自宅中華にはビールで良いかも(笑
少し前に貴醸酒の新酒を熟成させずにオーク樽で貯蔵した「華鳩 貴醸酒 オーク樽貯蔵2008」という商品を呑む機会がありましたが、バランスという点では今回の方が良いかもしれないですね。

味わい的には熟成種で貴腐ワイン、新酒でソーテルヌと比較されることが多く、ともすれば海外での評価の法が高いと言われている貴醸酒。
日本酒の奥深さを知るためにも、是非一度試していただきたい1本であります。
無濾過生原酒がもう少し安ければ、もっと人気が出そうなんですけどねー

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2009年2月12日木曜日

東洋美人の会


東洋美人の会
開催日/2009.2.11(建国記念日)
幹事/てるじぃさん
会場/じゃのすけ(秋葉原)
出品本数/26種類
参加人数/15人

■どうかしてる出品数の酒の会
今回はちょっと趣向を変えて、先日参加してきた酒の会の御報告をお送りします。
一般的に酒の会といえば、蔵元さんをお招きした「○○の会」というスタイルや、居酒屋さんがセレクトした美酒を飲み比べる会、大森にある日本酒ファンの魔窟「吟吟」などで時おり開催される、愛好家がお気に入りの1本を持ち寄る「持ち込み会」など、色々なスタイルがあります。
そして今回は山口県萩市の地酒蔵、澄川酒造場が醸す銘酒「東洋美人」に惚れ込んだ愛好家が、自慢のコレクションを一挙に放出する飲み会なのです。

ただ、今回の東洋美人の会は普通じゃないのです。
なんたって参加人数が15人に対して提供されるお酒が、鑑評会出品酒から古酒まで実に26種類、その殆どが一升瓶です。
これ全部企画者さんが自腹で購入された酒だそうで、単純計算で1人辺り約3リットル…… いくらなんでも呑めるはず無いっ!

普通、これくらいの参加人数ならせいぜい一升瓶で6本というところ。
いつもは紹介される順番に酒を呑み比べる参加者さんも、この時ばかりは酔っ払って味が分からなくなる前にお目当てを試して行きますが、なにせ蔵に惚れ込んだ酒好きがセレクトしただけに、呑まなくて良い酒なんて1本も無いんですよ!
絶対大赤字だと思うのですよ、企画者さん。
経済的にどうかしてると思うけど、気に入った蔵の伝道師としては仙人のように素晴らしいお方でございますな。

普段は量より味わいの僕も結局僕も全部呑みまして、帰りの電車で危うく気を失いかけたのでございました。

■呑んでみました
今回は新酒の、しかも早い季節ということもあり、全体の約1割が新酒、5割が19BY、4割が熟成酒、1割が古酒という品揃え。
中でも記憶に残ったお酒は以下の3本です。

「東洋美人 純米吟醸 おりがらみ 槽垂れ 20BY」
当日呑んだ中で、味の開きのタイミングがバッチリだったのがこのお酒。
フルーティな吟醸香と味乗り、穏やかな発泡感、新酒らしい若々しさを演出しながら、好き嫌いが出なそうな仕上がりに、会場のあちこちから歓声が起こっていました。
使用している酒米は、山田錦の55%精米。
東洋美人というと、すうっと呑める優しさが持ち味かと思っていましたが、これだけ印象に残る新酒を出荷しているとはちょっと驚き。
当日が試飲販売会場だったら、間違いなく購入したのがこの1本ですね。

「東洋美人 山廃吟醸酒 18BY
このお酒は16BYと13BYも出品されていたようですが(メモを紛失し記憶だけに頼って書いているので違っていたらスミマセン)、一番新しいはずの18BYが最も味乗りが良かったです。
こちらも山田錦の55%精米を使った山廃仕込の吟醸酒で、東洋美人らしいスッキリとした口当たりのあと、山廃らしい酸味と旨味が微妙に絡み合って口の中に広がっていきます。
これ、太刀魚の干物とか、塩味系の焼き魚なんかと合わせると美味しそうですね。
16BYや13BYは、ぬる燗にすると印象が良くなりましたが、18BYだけは冷やの方が個人的には好みでしたね。
720mlで1522円ですから、この味と造りを思うとなかりリーズナブルではないでしょうか。

「東洋美人 山廃大吟醸 14BY」
これ、発売当時は色々な酒屋さんが絶賛していたのですが、個人的には余り東洋美人っぽくなくて良い印象が無かったのです。
それから6年の時を経て、どのように味が変化したのか楽しみだったのですが、以外にも新酒の時より香り、酸味共に穏やかになっており、古酒と言っても良い熟成期間ながら全体的な印象は綺麗なもの。
それを上燗(45度前後)まで暖めてあげると、底に眠っていた芳醇なお米の旨みが目を覚まし、いくらでも呑んでいれそうな美酒へと変貌したのです。

以上が僕の印象に残った3本、あとは愛山辺りが比較的印象的だったような。
惜しむらくは良い意味で個性を持った酒が印象に残り、東洋美人が力を入れているというテロワール「611」「437」「372」の3本に加え、どれかの薄濁りもあったはずなのですが、酵母の違い以外は明確な差が感じられず、余り記憶に残らなかったような。
ただ、呑み終わって改めて凄いと感じたのは、26種類もの酒が揃っているのに「こりゃあダメだ」って酒が1本も無かったこと。
東洋美人は元々好きな酒でしたが、改めてその実力の高さを再認識させられたのです。

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2009年2月10日火曜日

常きげん Kiss of Fire


常きげん Kiss of Fire
鹿野酒造株式会社
石川県加賀市
原料米/山田錦
精米歩合/55%
アルコール度数/14-15度
日本酒度/+3
酸度/1.5

■プロデュース企業のコーディネイトで生まれた酒
能登四天王と称される名杜氏、酒造りの神様「農口尚彦」杜氏が醸す銘醸鹿野酒造株式会社。
代表銘柄「常きげん」は、地酒専門店からコンビニエンスストアまで幅広い販路を持ちながら、常に高い品質の酒を世に送り出し続けるお蔵さんです。
今回紹介する「常きげん Kiss of Fire」は、2005年の秋より全米デビューを果たした国際的なアイテムであり、ルイ・ヴィトン・ジャパンのニューイヤーパーティーでも絶賛されたエピソードを持つ日本酒です。

プロデュース企業が瓶デザインだけでなく、その価格までコーディネイトを行っただけあり、骨太の酒をイメージさせる「常きげん」の先入観を塗り替えるデザイン瓶は、藍色ガラスの流線型なフォルムという、デザイン瓶の王道を採用しながら、他蔵の商品とは一線を画す個性を実現し、東京駅グランスタ内のはせがわ酒店の店頭などでも一際存在感を放っています。

ただ、このお酒の価格は750mlで3500円で、居酒屋価格で換算すると1杯2500円くらい。
決してお安い価格とは言えませんが、プロデュース企業には「お求め安い価格」とアナウンスしており、常きげんを愛飲している地酒ファンを見ていない気がするのですが、果たしてお味の方はいかがでしょうか。

■呑んでみました
最初に言っておきますが、僕は常きげんの酒は大好きです。
一升瓶で5万の「如」に至っては、まさに日本酒版「神の雫」だと思っています。
なので、常きげんに対する先入観は他の人より凝り固まっていると予想されます。
その上であえて言うのであれば、何故この酒が農口杜氏の名を冠した常きげんで無ければならないのかと。
他の酒なら綺麗な酒質と評価されるべき呑み口は、ただの薄い酒としてしか感じられず、これなら常きげんで無くとも良いのではと感じてしまいます。

想像するに杜氏は「これも酒の楽しみのひとつ」と仰られているのではと。
また、菊姫の菊理姫がそうであるように、常きげんしか呑まれない地元の愛好家さんの選択肢が増えることは、歓迎すべきだとは思います。
また、海外や日本酒を呑んだ事の無い人をターゲットにした、戦略商品としても理解できるのですが…

せめて国内向けのPR戦略は農口杜氏を前面に押し出さず、常きげんの一つの可能性としてPRして欲しかったなぁと。
もっとも酒販店のWebサイトにある、あからさまな農口杜氏キャンペーンは、プロデュース企業の本意では無かったのかもしれませんが。

酒好きの友人にKiss of Fireを呑ませた時に発した「ふぅん」という言葉が、僕の感想を代弁してくれています。

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2009年2月9日月曜日

大七 純米大吟醸雫原酒 妙花闌曲


大七 純米大吟醸雫原酒 妙花闌曲
大七酒造株式会社

福島県二本松市
原料米/山田錦
精米歩合/35%
アルコール度数/
日本酒度/
酸度/

■ツタの葉のレリーフが高級感を醸しだす
生もと造りの大御所である大七酒造が、蔵が定める最高レベルに到達した年のみ出荷されるという純米大吟醸雫原酒である妙花闌曲。
旨味はあくまでも柔らかく濃密であり、突出した酸味や粗さを感じさせることがない最良の酒を目指す大七は、ともするとガツンとした口当たりの酒になりやすい生もと造りにこだわりながら、実に多様な表情を見せる酒を醸し、昨今の地酒愛好家さんのみならず、酒呑みの先輩諸氏にも高く評価されつづけているお蔵さんであります。
古い技術だけを頼ることなく、酒米が持つ潜在力を最大限に引き出すため「超扁平精米」なる匠の技術を開発するなど、その活動から目が離せません。

今回紹介する妙花闌曲は、柔らかな曲線を描く酒瓶に絡まるツタの葉(ですよね?)を金属パーツで再現されるなどのコダワリが伺えるほか、730mlで1万2600円という価格も、この酒が持つプレミアムを演出しています。
もっとも妙花闌曲には複数のビンテージ酒を融合させ誕生させた「妙花闌曲 グラン・キュヴェ」という商品があり、そちらは750mlで1万9050円とお値段的にはハイエンドではありませんが、グラン・キュヴェの方は数年に1回の発売であり、よほど運が良くなければ手に入れる事はできません。
瓶のデザイン的には通常の妙花闌曲の方が好きなんですが、ラベルを含めたトータルな部分では、やっぱりグラン・キュヴェがかっこいいんですよね。
いつか買ってやる!

この妙花闌曲のボトルの蓋は、通常のスクリューキャップやコルク栓とは異なり、瓶に差し込む部分はプラスチックみたいな素材の、蛇腹状ディテールがあるのです。
最初は使いにくい栓だなぁと思っていたのですが、実は非常に密閉性の高い栓のようなのです。
それを知るきっかけとなったエピソードは「呑んでみました」をご覧くださいませ。

■呑んでみました
日本酒の楽しみ方は一種類ではありません。
弾けるような躍動感とフレッシュな香りを楽しむ新酒、ひと夏越えて熟成させ秋の味覚が恋しくなる時に楽しむ秋あがり(ひやおろし)、酒が持つポテンシャルに時間というスパイスを加え、隠れていた良さも揺り起こした状態の熟成酒など、様々な酒好きの嗜好に応じることが出来るのです。
これはワインなどにも通じる酒の楽しみですね。

そして妙花闌曲の良さと言えば、熟成による完璧なまでの酒の調律といったところ。
熟成酒の中にはビターな風味が前面に出すぎて、日本酒というより紹興酒的な味わいになっているお酒もあるのですが、妙花闌曲はあくまで日本酒の旨さを目指しており、新酒のようなフルーティーな吟醸香を残しながら旨味がしっかり乗っており、呑み終わりには生もと造りならではの豊かな酸味がキレを演出してくれる。
まさにオーケストラの綿密な演奏のごとく、計画され尽くされた美しさが演出されています。
ただ、冷やしすぎたり甘い酒の直後に呑んだ場合には苦味と共に酸が目立ってしまいますので、何本も酒瓶を並べるようなシチュエーションではなく、リーデルのグラスと共に妙花闌曲とサシで向かい合うのが良いと思います。

そして妙花闌曲に関する取って置きのエピソードをひとつ。
僕が最初に妙花闌曲を呑んだ時、もう少し時間を置いて呑んでみたいなと感じたため、瓶の半分まで飲んで常温放置したのですが、その時は色々と酒を買い集めていた時期でもあり、ついつい放置しているのを忘れてしまったのです。
で、このブログを開設し、そういえば妙花闌曲あったよなぁ… と発掘したのですが、放置から発掘までの期間は約2年。
開栓後の吟醸酒を約約2年も常温で放置という、酒呑みにあるまじき失態を犯してしまったのです。

ところが先日恐る恐る呑んでみたところ、若干ナッツ様の熟成香を感じ、ピークでは無いなとの印象を受けたものの、開けたての時に感じた吟醸香もしっかり残っており、なにより酒質自体には目立つ劣化が見られない事に感動したのです。
この要因には妙花闌曲の芯の太さはもちろんのこと、前記した特殊な形状の栓の効果も大きいような気がするんですよ。
こうしたデザイン瓶を採用した日本酒はコルク栓が多いのですが、大七酒造が妙花闌曲を少しずつ呑むというシチュエーションを想定し、この栓を選んだとしたら凄い。

いや、大七の事だから絶対にそこまで考えているはず。
こうした酒呑みの事を考えた真摯な姿勢こそが、妙花闌曲という美酒を生み出したのでしょう。
超スゲェ。

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2009年2月7日土曜日

相模灘 特別純米酒 20BY新酒無濾過生原酒


相模灘 特別純米酒 20BY新酒無濾過生原酒
久保田酒造株式会社

神奈川県相模原市
原料米/美山錦
精米歩合/
アルコール度数/
日本酒度/
酸度/

■ラベルにもこわだる神奈川の地酒
東京と同じく、日本全国各地から銘酒と呼ばれる銘柄が集結する首都圏の酒屋さん。
地元神奈川産の地酒に興味が集まりにくい激戦区であり、地元特産の酒米開発など、自治体のサポートも享受しにくい環境でありながら、それでも真摯に酒造りに取り組む蔵が複数あるとういう激戦区、神奈川県。
その中でも最近知名度が急上昇しているのが相模原市の地酒蔵、久保田酒造が醸す相模灘です。
以前は久保田酒造という名称から、新潟の名醸、朝日酒造の「久保田」を連想される方も多かったそうですが、最近はどうなのでしょう?
画像のお酒は実に地酒らしいラベルが貼られており「どこが瓶好き酒なの?」と思われるかもしれませんが、実は相模灘のラベルデザインについては、ちょっと面白いエピソードがあるのです。

実はこの相模灘、今となっては若き杜氏、晃さんの酒としてファンに知られておりますが、僕は地元神奈川の酒ということもあり、晃さんが蔵に入る前から愛飲しておりました。
昔は大吟醸と特別純米(当時は五百万石だったっけ?)が好きでしたなぁ。
んで、晃さんは美術系の出身という経歴を持たれておりますので、酒造りの技術向上はもちろん、ラベルデザインのリニューアルにも真剣に取り組んでおられ、今あるラベルは文字通り久保田晃渾身のデザインであるわけです。
地酒らしさを醸し出しながら、決して酒屋の棚に並んだ時に他の銘酒に見劣りすることのない存在感を有していること。
全国から地酒が集まる神奈川県だからこそ誕生したと言えるかもしれないラベルデザインを、お酒とともに楽しんでいただきたいのです。

だっていまだに蔵に遊びに行くと、酒よりラベルデザインの話のほうが長いですもん(笑

■呑んでみました
今回ご紹介する「相模灘 特別純米酒」ですが、相模灘共通の特徴である食事をしながら呑んで旨い酒、すなわち食中酒としての特徴が良く出ているお酒です。
相模灘が定義するところの食中酒とは、食事の邪魔をしない水のような酒ではなく、米の旨味と甘み、そして爽やかな酸味がバランスよく含まれることで食事の味をより鮮明にし、旨味を引き出すお酒であります。
今年の特別純米酒 無濾過生原酒は昨年よりも綺麗な酒質で出荷され、味の濃い料理はもちろんのこと、湯豆腐のようなアッサリした食事とあわせても楽しめる、万能選手的な良さを持っています。

最近は取り扱い店舗も増え、神奈川県以外でも手に入りやすくなっており、先日のdancyu誌でも実力のある食中酒として掲載されましたから、今後はさらに色々な場所で購入できるようになるかもしれない相模灘ですが、神奈川県とは思えない自然に囲まれた蔵に行ってみるのもおすすめ。
相模灘という酒が、もっと好きになることウケアイです。

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2009年2月5日木曜日

松竹梅白壁蔵 神代穂全量


松竹梅白壁蔵 神代穂全量
宝酒造株式会社

京都市伏見区
原料米/京都府日吉町産神代穂
精米歩合/70%
アルコール度数/15-16度
日本酒度/+4
酸度/2.4

■大手が描いた地酒像?
酒瓶のデザインを語る時、変わった形状のデザイン瓶だけでなく、ラベルも含めてデザインを観た時には、実に興味深い事例を見つけることができます。
例えば平成17年12月に80本という超限定数で発売された「松竹梅白壁蔵 神代穂全量」は、あの松竹梅が考える「地酒っぽさ」が形になった商品と言える存在です。
宝酒造灘工場、通称「白壁蔵」と呼ばれる蔵で醸される酒には、旧来の大手酒のイメージを覆す、いかにも地酒的な商品「三谷藤夫」のような酒が揃っています。
こうしたお酒は料亭でも使われていることも少なくなく、普段は「松竹梅なんて」と鼻にもかけなそうな人でも、地酒感覚で注文している光景を見かけます。

確かに茶瓶に目立つ赤ラベルを貼り、デカデカと金文字で「神代穂」と描いたラベルは、ちょっと辛口を目指した地酒蔵の吟醸酒というイメージですよね。
しかも有名地酒専門店に出荷される人気ブランドではなく、知る人ぞ知るレベルの銘柄的な感じ。
ここまで計算してデザインされたラベルならば、さすがナショナルブランドと言ったところですが如何なのでしょうか?

商品名にある「神代穂」とは梅宮大社に古くから伝わる酒米で、毎年行なわれる「醸造安全繁栄祈願祭」に参拝した酒造家に初穂が授与されます。
醸造安全繁栄祈願祭(通称上卯祭)は11月第1卯の日、午前11時。秋に実った新米を使って神酒を仕込むに当たって、神々に醸造の安全を祈願するお祭りで、参列者は酒造家に限られます。
これに参加した酒造家のみに、梅宮大社に伝わる神代穂の初穂が授与されるのです。
特別な酒米を使った大手メーカーが醸す限定品(現在は発売されておりません)なんて、どんな酒なのか気になるじゃないですか。

■呑んでみました
今回の「松竹梅白壁蔵 神代穂全量」ですが、ラベルを読むとアミノ酸1.9の酸度2.4と、かなり味を乗せた酒だと伺えます。
冷蔵庫から出して瓶が汗をかきはじめた温度帯を目安に、お気に入りの備前のぐい呑みで呑んでみました。

精米歩合70%の純米ですが、香りは若干麹を感じる程度。
温度が低い状態では色々な味が混ざりあう事なく酒に漂っている印象で、常に感じる苦味が気になります。
しかし常温まで戻してみると全体に丸みが出て突出した部分が目立たなくなりますので、本来的にはぬる燗あたりがベストなのかも。
大手のお酒との先入観を抜きにしても旨味が厚く出ていて、すき焼きなどと合わせるとより楽しめそうだと思います。

但し味が濃いのが災いして、余り量を呑むと疲れてしまうのが残念ですね。
価格も720mlで2300円、飲み屋の相場で1杯1700円と低精白の純米としては決して割安でもありませんし。
ただ、ナショナルブランドも地酒ファンの忘れてはいないというアピールのためにも、こうしたお酒を発売し続ける価値はあると思うのですけれど。
直射日光が差し込む酒屋さんでは買いたいとは思いませんが、きちんと管理された状態の「松竹梅白壁蔵 神代穂全量」が再び発売されたら、僕は絶対に購入します。

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2009年2月4日水曜日

上善如水 月虹ノ雫(げっこうのしずく)


上善如水 月虹ノ雫(げっこうのしずく)
白瀧酒造株式会社

新潟県南魚沼郡
原料米/山田錦・アケボノ
精米歩合/55%
アルコール度数/17度以上18度未満
日本酒度/-12
酸度/

■淡麗辛口の蔵が世に送り出した限定酒
皆さんは新潟県の上善如水と言うお酒に、どのような印象を持たれているでしょうか。恐らく大多数の方が酒名のごとく「水のような酒」、すなわち淡麗辛口と称される酒をイメージされる事と思います。
上善如水を醸す白瀧酒造は準大手と呼んで差し支えない程の販売チャネルを持ち、社内に新しい商品を研究開発する専門の部門を持っていますから、現在のニーズに合わせた商品も販売していますが、やはり店頭に並ぶ商品の多くが淡麗辛口の設計による日本酒であります。
その上善如水から、ある時突然発売されたのが今回紹介する「上善如水 月虹ノ雫」。なんと山廃仕込み原酒の3年貯蔵という、スペックを聞いただけでガツンとした呑み応えを予感される、今では手に入らない数量限定発売商品です。

オフィシャルWebショップのみで販売された月虹ノ雫は、宅配便にて届いた時には専用カートン箱に収められ、ハワイアン柄のバンダナに包まれているというコダワリぶり。
藍色のデザイン瓶は小振り(確か500ml商品だったような)でセンス良くまとめられており、日本酒らしさを残しながら非常にモダンなコンセプトでありました。


■呑んでみました
さて今回の月虹ノ雫、呑んだ当時のコメントを読むと、白瀧酒造さんの酒という先入観をどこまで捨てれるかが楽しむポイントだと書いてあります。確かに今でもそう思いますね。
常温よりも少し冷えたポイントで、小さめのリキュールグラスで呑んでみると、香り甘さを含んだナッツ様の熟成感がありますが、いわゆる紹興酒のようないかにも熟成酒ですという個性はありません。
味わいも透明感のある酒質の中に、山廃らしい酸味を溶かし混んでいる部分は素晴らしいのですが、全体に甘味が強すぎてカクテルっぽく感じてしまったのがマイナス印象。

呑み終わりの部分で熟成によるビター感が現れるなど、酒好きに好まれそうな表情も見せてくれるのですが、改めてみるとパッケージから酒質までデザインに統一感がある、つまり女性層を強く意識した酒であると。
ひとくち目は「すごい酒だなコレ」と一瞬怯むけれど、山廃純吟原酒というスペックにあるべき男らしさは皆無です。
今考えると山廃の原酒で女性向けの酒をデザインするという、小さな蔵には絶対できなそうなテーマに挑んでいたお酒だったのですね。

予定数の販売が終了して以降は再販の気配は無いようですが、もし再販されることがあればリピートで購入してみたいと思います。

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2009年2月3日火曜日

六歌仙 一刻ロゼ 発泡純米酒


六歌仙 一刻ロゼ 発泡純米酒
株式会社六歌仙酒造

山形県東根市
原料米/
精米歩合/
アルコール度数/7-8度
日本酒度/-6.5-5.5
酸度/

■日本酒らしくない地酒
今回紹介する「一刻ロゼ」は、なにせ日本酒らしくないお酒であります。
宙吹きガラスを想わせる、微妙な美しいアールを描く黒いボトルには紙ラベルではなく、梅の花(?)の模様がプリントでデザインされ、ぱっと見には果実酒かリキュールっぽい印象。
数ある酒瓶の中でもデザイン性と実用性のバランスに優れた逸品だと思うのですが、ガラスのリサイクルの観点からは瓶に直接プリントする手法は余り好ましくなく、エコ的な配慮で将来的には違うデザインになってしまうかも。
しかも中に詰められているのが淡いピンクに染まりシュワシュワと発泡している、余りにも日本酒らしくないお酒なのです。

本当は中のお酒の画像も一緒に掲載すれば良いのでしょうけれど、このタイプは開栓したら一気に呑んでしまわないと味が落ちてしまうので、こうして瓶を撮影する時には既にカラッポになっているのは仕方ないこと。不可抗力です。
商品は720mlで確か1680円くらい。呑み屋さんの平均的な価格設定では1杯1260円くらいですが、上記の理由から呑みきりタイプの180mlで400円のタイプを出しているお店が多いかも。

一般的な日本酒よりもアルコール度数が低く、アルコール度数で価格が決められる事が多い(同じグレードで原酒の方が高い理由はコレ)日本酒としては若干割高に感じるかもしれませんが、雰囲気のある和風ダイニングバーのカウンターで、気になる女性にワイングラスで一刻ロゼを勧め「これって実は日本酒なんだよね」なんて自然な薀蓄でも語ったら高感度急上昇ですよ!
「日本酒嫌いー」って若者に「お前は本当の日本酒の味を知らないんだ!」って説教するより、100倍日本酒復権に働きかけることができると思うんですけど、どんなもんでしょ?

確かに本当に丁寧に造られた日本酒は、どんなお酒にも負けないと思うけれど!

■呑んでみました
前にも書きましたが一刻ロゼを呑む時にはワイングラスがお勧め。
黒米を使用した事に由来する天然の色は、完全なピンクというより紫がかったミルキーなもの。
日本酒の醗酵の特性から水で薄めたお酒で無い限り、アルコール度数が低いと甘くなる傾向が強い(理由は長くなるので割愛)のですが、一刻ロゼは狙って甘さを出しています。
とは言っても砂糖を加えているのではなく、お酒の甘さは米に由来する自然の甘さですから、日本酒との相性も悪くなく、意外と量を呑んでしまいます。

ただ、色出しに黒米を使用しているせいか、香りに若干スモーキーな印象がありますので、これが気になるのであればロゼじゃない普通の一刻の方が合うかも。
ちなみに一刻ロゼが黒米を使用する理由は、例えばブルーベリー色素などを加えて色を出すと日本酒ではなくリキュールになってしまうから。
世の中にはあえてブルーベリー色素を使っているお蔵さんもありますから、この辺りは各蔵のコダワリなのかもしれません。

個人的な感想ですが、僕は元々甘いものが余り好きでは無いので、カクテル的な甘味を持つ一刻ロゼはたくさんは呑めないかも。
味に特徴がある分、他の酒と呑み比べるのにも向かないと思うし。
でもパーティなんかでワイワイやる時に1本空ける勢いで呑むには使えるお酒だと思います。

和風ダイニングバーのカウンターで、気になる女性にワイングラスで一刻ロゼを勧めるなんてキャラじゃ無いですから!

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2009年2月2日月曜日

十四代 龍泉 大極上諸白


十四代 龍泉 大極上諸白
高木酒造株式会社

山形県村山市
原料米/龍の落とし子
精米歩合/40%
アルコール度数/16度
日本酒度/+2
酸度/

■美麗瓶地酒の御三家
銘柄の知名度と瓶のデザインを考慮して、僕が勝手に美麗瓶御三家としているのが「黒龍 石田屋」「梵 超吟」「十四代 龍泉」。反論大歓迎。
この中で恐らく入手難易度が最も高いのでは? と予想されるのが、今回紹介する十四代の龍泉では無いでしょうか。

中国明王朝の時代を思わせる曲線美を描くデザインボトルは、以前は深紅の酒瓶だったのですが、今年購入できたのは思ったよりもくすんだ色…… 偽者を掴まされたかと慌てて調べたところ、今年から紫色ベースの酒瓶に変更されたそうです。
えぇぇー、前の方が絶対にカワイイのに!
確かに色ガラスの赤い色は材料費が他の色よりも高いので仕方が無いけれど。

龍泉に限らず十四代の商品はインターネット上ではプレミア価格のみが検索されますが、龍泉の定価は720mlで1万5000円(ちょっと前まで1万4000円だった気がするけど)。地方によっては蔵元からの送料を乗せて定価としている場合がありますので、これよりも高いからと言って即プレミアと判断されるのは間違いなのでお気をつけくださいませ。

この龍泉、一般的な居酒屋価格に換算すると1杯のお値段6800円となり、さすがに購入する時には躊躇しますが、普通の人よりも多くの時間を酒屋巡りに費やしている僕であっても、購入できるチャンスは年に1度か2度。
購入できる時に無理してでも購入しちゃうのが正直なところです。

■呑んでみました龍泉は一般的には非常に高い評価を得ている酒で、これを好きじゃないと言ってしまうと酒好きの先輩諸氏から「なんと酒の味がわからぬ奴め!」とお叱りを受けそうですが、個人的にはなんとも物足りなさを感じるお酒なのです。

とかく一般人には入手困難な十四代。僕も十四代は自宅用に買い求めるよりも、居酒屋で呑んだ方が早いと考えているクチではあり、そのイメージで龍泉を呑むと旨味を物足りなく「僕が知っている十四代の最高峰」らしからぬ酒と感じてしまいます。
また斗瓶の氷温熟成酒、いわゆる高級なお酒として呑んだ時も、例えば上に挙げた石田屋や超吟からは蔵らしさを感じるのですが、やはり龍泉からは十四代らしさを感じ取るのは僕には難しいのです。

十四代というレッテルを外して呑めば、全体の味の構成の中で特出した部分が無く、舌の温度でジンワリと酒が温まるにつれ、酒の奥に隠れていた上品な甘味が広がってくる、大変良く出来た酒だと思います。
でも、これは菊姫の菊理姫を呑んだ時の感想と同様なのですが、これって十四代じゃ無くてもいいじゃん、と思ってしまうんですよね。
購入するのに、ものすごく苦労する酒ですし(笑

1度は経験しておくべきお酒だけど、1本購入すべきかと言われれば疑問符が付くお酒。
龍泉も他の十四代と同様、やっぱりお店で頑張って呑むべき日本酒なのかもしれません。

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